宇宙・究極観測~探せ!ブラックホール~
番組タイトル: 「宇宙・究極観測~探せ!ブラックホール~」
対象: 小学中学年~一般
再生時間: 本編25分
ジャンル: サイエンス、単発対応
ナレーター: 小松 昌平(声優)
監修: 永井 洋(国立天文台ALMA特任准教授、EHTメンバー)
トレーラー
ブラックホール・重力波、その驚くべき観測方法とは?
アインシュタインの一般相対性理論で予言された「ブラックホール」と「重力波」。
アインシュタイン自身もその存在を疑っていました。
しかし100年の時を経て「重力波」が観測され、ブラックホールは“存在する天体”になった
ばかりか、そのわずか4年後、その姿を直接画像で捉える、歴史的快挙までに至りました。
では一体どのようにしてそれらは観測されたのでしょう。
100年をかけた、その驚くべき方法に迫ります。
ブラックホールとは?
巨大な天体が崩壊し、極端に小さな体積になった時に生まれる強い重力場のことです。
それは、円盤・ジェット・光子球で構成され、内側には「事象の地平線」と呼ばれる
境界と重力が一番強い場所「特異点」があります。
ブラックホールシャドウの撮影
望遠鏡は大きければ大きいほど細部を細かく見ることができます。
しかし、科学者たちが見つけたブラックホールを地球から観測するのは、
東京からインドのニューデリーの新聞を読むのと同じくらい困難なことです。
それを可能にするには地球サイズの望遠鏡が必要で、
誰もがそんなことできるわけないと考えていました。
地球サイズの望遠鏡
2017年、数千Km離れた地球上の8つの電波望遠鏡がある空の領域に向けて観測を始めました。
地球の自転を利用し、アメリカ・メキシコ・南極・チリ・スペイン、
5か国の8つの望遠鏡で1つの観測を行う。
そう、科学者たちは複数の電波望遠鏡をつなぐことで地球サイズの大望遠鏡実現したのです。
世界中の望遠鏡、世界中の研究者が参加した、国際協力プロジェクトは、
『イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)』と呼ばれました。
撮影の成功
8台の電波望遠鏡は幻を追うような観測を続け、データの収集を行います。
観測データは世界各地から集められ、様々な手法で4つのチームが画像化に取り組みました。
そして2019年、世界に向けて発表された驚くべき画像、
ついに捉えられたブラックホールの直接的な証拠が私たちの目に触れたのです。
もう一つの観測
物体が移動すると周りの空間はゆがみ重力が生まれ、通り過ぎると元の状態に戻る、
このように空間が重力の影響で波紋のように揺らぐそれを「重力波」と呼びます。
2015年、この重力波を観測することで、2つのブラックホールを発見しました。
そもそもブラックホールや中性子星、超新星爆発によって引き起こされる「重力波」を、
地球で捉えるのは非常に困難と言われていましたが、レーザー干渉計重力波観測所「LIGO(ライゴ)」で、そのほんの小さな揺らぎを初めて検出したのです。
およそ14億年前、宇宙のどこか2つのブラックホールが一つになった時の宇宙全体を揺さぶるような衝撃が、14億年という気の遠くなるような時を超えて地球に届いたのです。
その小さな小さな揺らぎの波を検出したプロジェクトは本当に素晴らしいとしか言えません。
100年をかけて進化してきた観測方法の進化は、
まだまだわくわくするような発見を私たちに届けてくれるでしょう。